音楽のジャンルの1つに、ワルツがあります。
「ワルツ」と聞くと、多くの人が優雅な舞踏会や華やかな音楽を思い浮かべるでしょう。
ですが、ワルツの音楽はただのダンス曲以上の意味を持っています。
ワルツは、時代や文化を超えて人々の心を捉えてきました。
この記事では、ワルツの音楽が持つ歴史的背景や文化的意義、さらにはおススメのワルツのクラシック曲もご紹介します。
ワルツとは何?
ワルツとは、華麗でリズミカルな3拍子のダンスのことです。
ワルツは、特にヨーロッパの社交場で人気を博し、その優雅な動きは多くの人々を魅了してきました。
ダンスパートナーと共に円を描くように回転しながら踊ることが特徴で、その流れるような動きは見る人を楽しませます。
日本語で「円舞曲」と訳されますが、このダンスの特徴に由来しているというわけです。
音楽的には、モーツァルトやベートーヴェン、シューベルトなどの作曲家によってクラシック音楽の一つとして発展しました。
特に、シュトラウス父子による作品は、ワルツの普及に大きく貢献しました。
シュトラウス一家の作品は、ウィーンを中心にヨーロッパ全土で愛され、今日に至るまで多くの人々に親しまれています。
例えば、オーストリアの第二の国歌とも呼ばれる「美しく青きドナウ」は、とても有名ですね。
また、ワルツは社交ダンスとしても重要な位置を占めています。
ウィンナ・ワルツはその代表例で、華やかな舞踏会やダンスコンペティションでよく見られます。
このダンスは、エレガントな姿勢と滑らかな足運びが求められ、ダンサーたちには高い技術が要求されます。
現代においても、ワルツは多くの映画やテレビ番組、広告などで使用され、その魅力は色あせることがありません。
また、ジャズやポップミュージックにおいても、3/4拍子の楽曲は「ワルツ」として親しまれています。
ワルツは、その優雅さとリズムで、今もなお多くの人々を魅了し続けているダンスと音楽のジャンルと言えるでしょう。
ワルツの起源は?
ワルツは、西オーストリアと南ドイツ(ハプスブルク帝国)が起源と言われています。
13世紀頃、今日のチロル州とバイエルン州の農民が踊っていた「ヴェラー」というダンスから発展しました。
このヴェラーは、ゲルマン文化初の男女が体を接して共に回るダンスで、初期の形態は法律的に禁止されていましたが、アルプスの渓谷の奥などで農民の娯楽として密かに踊られ続けていました。
16世紀に入ると、このダンスはインスブルックなどの都市にも伝わり、都市の住民によって上品化されていきます。
この過程で「ヴェラー」は「ヴァラー」を経て、最終的に「ワルツ」として発展しました。
ワルツは非常に人気が高まり、ハプスブルク帝国は法律の改正を余儀なくされ、最終的には帝国全体で解禁されたという経緯があるくらいです。
18世紀には、ウィーンのホーフブルク王宮などでも踊られるようになり、ハプスブルク宮廷文化の一部として正式に取り入れられました。
国際的に広まったのは1814年のウィーン会議を機にしており、特にウィンナ・ワルツとして世界中に知られるようになりました。
以上のように、ワルツは農民の娯楽として始まり、都市の文化に取り入れられ、上品化された後、国際的な人気を博したダンスであると言えます。
おススメのワルツ3選!
ここでは、おススメのワルツ3選!と題し、3つの作品を紹介します。
個人的な趣味も反映されていると思いますが…💦
ぜひ、参考にしていただければと思います。
華麗なる大円舞曲/ショパン
最初に紹介するのは、ショパンの「華麗なる大円舞曲」です。
この曲は、その名の通り、華やかで優雅なワルツです。
作品42として知られ、1840年に作曲されました。
ショパンのワルツの中でも特に明るく、躍動感に満ちています。
独特のリズムと洗練された旋律が交錯し、聴く人を華麗な舞踏会の雰囲気へと誘います。
ピアノのための作品でありながら、オーケストラのような豊かな響きを持つのも魅力の一つ。
ショパンのロマンティックな世界観が色濃く反映された、まさに耳に残る美しい作品です。
ショパンのワルツ全集は全19曲ありますが、華麗なる大円舞曲は第1番の曲で定着していますね。
私もショパンのワルツの中で最も好きな曲です。
花のワルツ/チャイコフスキー
次に紹介するのは、チャイコフスキーの「花のワルツ」です。
バレエ音楽「くるみ割り人形」の中でも、特に有名な曲ですね。
花のワルツは、バレエの第二幕で演奏され、幻想的な花々が舞う情景を描いています。
1892年の初演以来、その優雅で夢のような旋律は多くの人々を魅了し続けています。
オーケストラの豊かな響きと繊細な音色が、まるで花々が舞い踊るような美しい世界を作り出しています。
クリスマスの季節にもよく聴かれる曲ですね。
子供から大人まで幅広い世代に愛されている、チャイコフスキーの代表作の一つとなります。
ラ・ヴァルス/ラヴェル
最後に紹介するのは、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」です。
ラ・ヴァルスは、フランス語で「ワルツ」という意味です。
1919年に完成し、ウィーンの社交界を彷彿とさせるような美しい旋律が特徴的。
しかし、ただのワルツではなく、ラヴェル独自の色彩豊かな音楽が織りなす幻想的な世界が広がっています。
時に激しく、時に優雅に、聴く人を魅了するこの曲は、クラシック音楽の中でも特に人気のある作品の一つです。
ラヴェルの繊細かつ大胆な音楽表現を感じることができる、まさに聴くべき名曲ですね。
個人的にラヴェルが大好きということもあり、ワルツの中では私が最も好きな曲です(^^♪
元々はオーケストラで演奏されますが、ピアノ独奏に編曲されたものも有名です。
まとめ
ワルツは、ただのダンス音楽ではなく、その歴史と文化的背景に深い意味が込められています。
ワルツは、農民の娯楽から始まり、都市文化に取り入れられ、上品化され、国際的な人気を博しました。
現代のミュージックシーンにおいても、3/4拍子の楽曲はワルツとして親しまれています。
おすすめ3選として紹介したワルツは、個人的な好みで選んだところがありますが…(汗)
もちろん、ここで紹介した曲の他にも素晴らしい作品がたくさんあるので、ぜひワルツの豊かな世界を堪能していただけたらと思います。